青い星を君に捧げる【壱】
___1年前、4月2日

《side.泉 明日歌》
自分から別れを告げた。だけどやっぱり杏里くんには本当のことを正直に話したくて一方的に連絡した。


どうしても今日じゃなきゃ行けなかった。最後の“外出許可“が出た日だから。

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小学校6年の時ぐらいかな。それぐらいから運動すると体調が悪くなった。ママと一緒に病院に行って、精密検査をした。


「明日歌さんの心臓はこのままいくと機能しなくなるでしょう。世界に数例しかない不治の病です」


初めてその話を先生から聞いた時、嘘かと思った。私もう死んじゃうのって。


「む、娘はじゃあどうすれば!!」


「入院して延命治療しか我々には出来ません。余命は……2年ほどでしょうか。おそらく明日歌さんが中学3年を迎える前に…」


「そんな……いやああああああ」


泣き叫ぶママの背中を看護師さんが摩り、先生は辛そうな顔をしてる。私だってここにいる人たちのように20年、30年生きたい。


生きたい、生きたい。



もっと生きたい





ママは病院にすぐに入ってほしいと言ったけれど私はこれまで通り学校に行くことを望んだ。あと2年。病院にいるよりも友達に囲まれて生活したい。パパは私の願いを汲んでくれた。


そうして最後の年、中学2年を迎えた。この時になると余命の詳細も伝えられて、年を超えた1月だろうと宣告されていた。


___ガラガラ

体育で誰もいない教室で課題プリントをやっているとドアが開く。担任の先生かな?


「あり?今日休校?」


深い緑色の髪色の顔が整った男の子がいた。彼は同じクラスの子で、久我杏里くんと言うみたい。

彼は一年生の時全然学校に来ていない所謂不良のカテゴリーに入る。朝の出席確認の時にいつもいなくて名前だけ知ってる人。


杏里くんは今まで接してきた男の子と全然違った。気づけば好きになってた。でも余命半年の私が恋をしてもいいのだろうか。


ずっと迷ってた。


でも杏里くんが告白してくれて想いは止められなかった。彼女になってしまった。


お願い神様…どうかこの恋だけは見逃してください

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