青い星を君に捧げる【壱】
《side.久我 杏里》

情けないくらいに泣き暮れた俺をみんなは静かに見守ってくれた。途中で明日歌のお母さんの手の他に人の暖かさを感じた。


あれは多分隣に座ってた波瑠のもの。俺の背中をさすったり最後には抱きしめてくれた。


なんであの日、明日歌を信じてあげれなかったんだろう…とかそういう後悔の念じゃなくて、明日歌が生きていたという証がこんなにも残っていて嬉しかった。


ありがとう、俺と出逢ってくれてありがとう。そう伝えたいのに、もう届かない。こんなに願っているのにもう会えない。



俺は多くのものを彼女から貰ったのに、まだ何も返せてない。あげられないんだ。それを考えただけで涙が再び溢れる。


明日歌は俺が生きる希望だって言ってくれたけど、本当は違う。逆なんだ。明日歌が俺に生きることを教えてくれた。


生きる喜びを伝えるために俺と出会ってくれたんだ。そして俺は彼女に会うためにこれまで生きてきたんだ。


やっとわかった。繋がった。


明日歌と会えたから、今俺はこうして大切な仲間に囲まれて生きていけるんだ。


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明日歌のお母さんがあした彼女のお墓に行かないか、と誘ってくれたので行くことにした。だから付いてきてくれたみんなとは別れて適当にここらで泊まることにした。


「それじゃあ私たちは帰るけど、明日歌によろしく言っといて!」


「うん、伝えておくよ。それとみんな…ついてきてくれてありがと」


「……明日、帰りの新幹線乗ったら連絡寄越せよ」


別れ際に慎はそういった。慎が連絡しろ、なんていうの珍しいなぁ、と思って頷いた。
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