青い星を君に捧げる【壱】
バーベキューの熱なのか、人の熱さなのか…わからないけど熱すぎる倉庫から逃げるようにすぐそばの堤防まで来て座った。


ここからでもみんなが楽しんでいる光景が見える。残念ながら声までは波にかき消されて聞こえない。


「なんか用?……風間くん」


海を眺めて涼んでいた私の背後から近づいてきたのは風間くんだった。

彼は私の問いに返事をすることなく隣(と言っても一人分くらいの間があるけど)に座った。


「…隕石、落ちたわ」


「ん?隕石…?」


えと今のはなんだ?風間くんが世界のどこかで隕石落ちたよって報告?それとも…


「ご、ごめん。ボケだったり、した?」


「んなわけねぇだろうが!!」


口元をピクピクさせながら怒る風間くんに、私はますますさっきの発言の意味がわからなくなる。


「…言っただろうよ、お前が青龍に入るって決まった日」




『俺はお前が青龍を名乗るのは認めねえ』


『風間くんがいつか認めてくれるように私頑張るから』


『……ふーん、そんな日隕石落ちるくらいの確率でぜってぇーねえけどな』




思い出した。そんな会話そういえばした。


「じゃあ隕石落ちたっていうのは…」


今までずっと海の方を見ていた風間くんの蒼い瞳が私を貫いた。目の光がきらりと輝く。


「認めてやんよ。俺の負けだ。…これからは仲間だと思っといてやるよ、波瑠」


初めて名前を呼んでくれた。喜びで女嫌いの風間くんに飛びつくところだった。


「ありがとうだけど何で急に?」


「杏里を助けてくれただろ。アイツ明るく振る舞ってたけどこれまで過去に囚われてた。だけど今日のアイツ、吹っ切れてただろ」


通常以上にテンション上がっていた杏里を思い出してか風間くんは小さく笑った。


後ろの倉庫に目を向ければ満面の笑みの杏里が見えた。


「そっか。風間くんに認められるなんて光栄だなぁ!」


「それだけど、湊でいい。苗字呼びは、飽きた」


胡座をかいていた膝に腕をのせ、その手で顔を支えながら言った。


「…これからもよろしくね、湊!」


ピョンッと堤防から後ろに飛び降りて倉庫へと歩き出す。


「あ、そうだ。もう一つ聞きたいことあったんだった」


わざとらしく思い出したように湊は言った。
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