青い星を君に捧げる【壱】
「ズビッ、み、湊ぉ。どう?女の子好きになれた?」


彼方が明らかに寝ていたであろう湊に問いかける。

「あ“あ”?好きになるか」

…あーあ。やっぱりだよ。

あの二時間は私たちがただただ楽しんだだけだった。


「こうなったら最後の手段だ。ごめんっ波瑠…エイッ!」


___ドン


飲み物を取りに行こうと立った私は杏里に肩を強く押された。踏ん張りきれずにクラッとソファに体が傾く。


(しまった。そっちには湊が!)


「っ!」


女嫌いな湊のことだから…弾かれて床にこんにちはするのがオチだと思ってた。


けどそれは違ってて…


「……あっぶね。杏里てめえやりすぎだ」


逞ましい筋肉質な腕に体は包まれていた。


つまり、どういうことかというと。今までだったらあり得ないことだけど、湊が私をキャッチしてくれた。湊から私に触れたのだ。


「えーと湊、ありがとうだけど…お姉さんついに女だと認識されなくなったのかな?」


戸惑いすぎて言葉までおかしくなる。


「んなわけあるか。女だろうがオマエは」


「じゃ!じゃあなんで触って平気なの!!」


彼方の問いかけに私たちの視線は湊に集中する。その視線が鬱陶しいのか湊は顔を背けた。


「なんでってこいつは“仲間“だろが。嫌いもクソもあるか」


キャッチしたまま私の腰に回っている腕に力が入り湊の方に寄せられる。


「そっか〜そうだよね!それじゃあこれからはもっとかまうようにするね」


湊の頭に腕をの出してわしゃわしゃと撫でる。



「これにて本日の女嫌い克服委員会は終了で〜す!」
「次回放送の最終まで」

「「まったね〜!!」」


「もう二度とやるか!!!」
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