不思議な図書館の魔法~僕らは物書き~
一旦口を閉じた玲は「ついてきて」と歩き出す。僕と優花は、玲の後を追いかけた。

少し歩くと、玲は大きな扉を開ける。中には、たくさんの本棚があった。図書館の外見からは、想像できないくらいの広さの部屋だ。

「この部屋で、本を保管するんだ。ここは物書きしか出入りしないから、幻影が生み出されたとしても浄化できるから」

そう言いながら、玲はどこからか脚立を引っ張り出してくると、脚立を登って空いてる場所に手に持ってた本を置いた。

「……静弥、優花。幻影が現れたようだね……戦いながら説明するから、戦闘準備を……」

脚立から飛び降りて、僕の近くに着地した玲がそう言った瞬間、辺りが暗くなる。

「分かった……太陽のような君が羨ましかった」

優花がそう口にした途端、制服の上から羽織る形で装飾品の付いたローブが現れて、優花は黄色の炎が揺らめく大きな筆を手に持った。いつの間にか、優花の髪に付けられてた髪飾りは消えてる。

「友達を失ってから、周りが色褪せて見えた……ほら、静弥も」

さっき幻影と戦った時と同じ服装を着た玲は、大きな筆を握り締めて、僕を見つめる。

「……僕の心は、いつだって灰色だった」

制服の上から装飾品の付いたローブを着た格好に変わって、目の前に現れた青い炎が揺らめく大きな筆を握った。
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