悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
いや、するか。子供たちが人間を拾ってきたんだから返そうと思って、返し先調べるよね。勝手に子犬拾ってきたら迷子犬情報が出ていないか調べるのと一緒か。うん、納得した。
「きみはシュタインハルツ王国のベルヘウム家の娘だろう」
うわ。正確に把握をされていらっしゃる。
「シュタインハルツ王国って?」
大人の会話に混ざりたがるのは世の子供の常。背後で双子竜がひそひそと話し出す。
「ぼくたちが遊びに行った人間の国だよ」
「あ、そっか。そういえばドルムントがこの間教えてくれたっけ」
「人間の国たくさんあってわけわかんないよね」
「うんうん」
などという会話を小耳に入れつつ、わたしはミゼルカイデンと視線を合わせる。
そこまで知られているなら仕方ない。
「はい。そうです」
わたしは頷いた。
「シュタインハルツ王国では貴族と呼ばれる位に属している家なのだろう? 代々魔力を有した人間が多く生まれる家系だという。そのような大きな家の娘が毒を盛られた。まあ、人の国には色々な事情があるのだろうが」
「べつにわたくしたちは人の国での騒ぎに首を突っ込む気はないのよ。けれど、こうして出会ったのも何かの縁なのだし、あなたは幸いにも一命をとりとめた」
「聞けばきみはシュタインハルツの王の息子と結婚の約束をしていたのだろう?」
「うわ。そこまで知っていらっしゃるんですか」
「風の精霊にあなたのことを調べてきて頂戴って頼んだの。それから、その結婚の約束が無くなったことも聞いたわ」
「王子が別の女性に心変わりしたんだろう?」
ミゼルカイデンが言いにくそうに、すまなさそうな顔をしながらレィファルメアから言葉を引き継いだ。
「そんなことまで……」
精霊の情報もすごいな。
この世界のあちこちに散らばる精霊や妖精たち。四大元素と呼ばれる風・火・水・土に属する精霊たちはこの世界そのものと同質でもある。その風に頼んだらしい。
わたしたち人間も魔法を使うとき多かれ少なかれ精霊の力を頼ることになる。人間よりも高い魔法の力を有する黄金竜なら風魔法を使って情報収集することくらい朝飯前か。
「でしたら、わたしの噂もたくさん仕入れることができたんじゃないですか?」
わたしはなんとなく不貞腐れた声を出す。
「きみはシュタインハルツ王国のベルヘウム家の娘だろう」
うわ。正確に把握をされていらっしゃる。
「シュタインハルツ王国って?」
大人の会話に混ざりたがるのは世の子供の常。背後で双子竜がひそひそと話し出す。
「ぼくたちが遊びに行った人間の国だよ」
「あ、そっか。そういえばドルムントがこの間教えてくれたっけ」
「人間の国たくさんあってわけわかんないよね」
「うんうん」
などという会話を小耳に入れつつ、わたしはミゼルカイデンと視線を合わせる。
そこまで知られているなら仕方ない。
「はい。そうです」
わたしは頷いた。
「シュタインハルツ王国では貴族と呼ばれる位に属している家なのだろう? 代々魔力を有した人間が多く生まれる家系だという。そのような大きな家の娘が毒を盛られた。まあ、人の国には色々な事情があるのだろうが」
「べつにわたくしたちは人の国での騒ぎに首を突っ込む気はないのよ。けれど、こうして出会ったのも何かの縁なのだし、あなたは幸いにも一命をとりとめた」
「聞けばきみはシュタインハルツの王の息子と結婚の約束をしていたのだろう?」
「うわ。そこまで知っていらっしゃるんですか」
「風の精霊にあなたのことを調べてきて頂戴って頼んだの。それから、その結婚の約束が無くなったことも聞いたわ」
「王子が別の女性に心変わりしたんだろう?」
ミゼルカイデンが言いにくそうに、すまなさそうな顔をしながらレィファルメアから言葉を引き継いだ。
「そんなことまで……」
精霊の情報もすごいな。
この世界のあちこちに散らばる精霊や妖精たち。四大元素と呼ばれる風・火・水・土に属する精霊たちはこの世界そのものと同質でもある。その風に頼んだらしい。
わたしたち人間も魔法を使うとき多かれ少なかれ精霊の力を頼ることになる。人間よりも高い魔法の力を有する黄金竜なら風魔法を使って情報収集することくらい朝飯前か。
「でしたら、わたしの噂もたくさん仕入れることができたんじゃないですか?」
わたしはなんとなく不貞腐れた声を出す。