悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
だって、風の精霊たちがわたしのことを話したのなら、わたしがどうしてヴァイオレンツから婚約を破棄されたのか、その理由だって知っていることになる。
「ええ。面白いくらいに相反するお話で、わたくしたち首をかしげたのよ。どっちが本当のあなたなのかしらって」
「はい?」
相反するってどういうことでしょうか。どうせ悪役令嬢らしく意地悪だの高飛車だだの言われまくっていたんでしょうとやさぐれていたわたしは大きく聞き返した。
「ベルヘウム家を知る人や精霊たちはあなたのことを頑張り屋さんで勉強熱心な子って。あああと、お庭のお花たちを気にかけたり、使用人の名前もきちんと覚えて多忙な両親に代わって家の細かいところまで采配をふるっていたそうね」
レィファルメアがにこりと微笑んだから、わたしは顔を赤くした。
なんだか、めちゃくちゃ私生活掘り下げられている気がするんだけど。頑張り屋さんって、ちょっといやかなり恥ずかしい呼ばれ方してるし。
「そのわりに学園でのきみの評判は芳しくない。人間の話す噂限定で言うとね。しかし、魔法学園の人工池に住まう水の精霊はきみは悪い子じゃないと言う」
ミゼルカイデンはわたしが学園内で起こしたという出来事をいくつか挙げていく。そのなかにはリーゼロッテがフローレンスに悪意を持って近づいたという、ヴァイオレンツが言っていた例の件も含まれていた。
「それは断じて濡れ衣です。わたしは、フローレンスとあまり関りにならないようにしていましたし」
「ちなみにそのフローレンスがきみの元婚約者と惹かれ合っていたのだろう? 悔しくはなかったのかい?」
ああ、その話ですか。どいつもこいつも、人の色恋沙汰が好きなのね。
わたしのいささか冷めた瞳に気が付いたのか、ミゼルカイデンはやや居心地悪そうに肩をすくめた。
「べつに、わたしとヴァイオレンツ様の婚約は親同士が勝手に決めたことですし。昔は、まあ心をときめかせたこともあったような……気もしなくもないですけど。でも、年取れば馬鹿でも悟ります。あ、この人わたしにまったく興味ないんだなって。そんな人を純粋に想い続けていられるほどわたし純情でもなかったんですよね。ほかに好きな人ができたのならさっさと言ってくれればいいのに」
「ええ。面白いくらいに相反するお話で、わたくしたち首をかしげたのよ。どっちが本当のあなたなのかしらって」
「はい?」
相反するってどういうことでしょうか。どうせ悪役令嬢らしく意地悪だの高飛車だだの言われまくっていたんでしょうとやさぐれていたわたしは大きく聞き返した。
「ベルヘウム家を知る人や精霊たちはあなたのことを頑張り屋さんで勉強熱心な子って。あああと、お庭のお花たちを気にかけたり、使用人の名前もきちんと覚えて多忙な両親に代わって家の細かいところまで采配をふるっていたそうね」
レィファルメアがにこりと微笑んだから、わたしは顔を赤くした。
なんだか、めちゃくちゃ私生活掘り下げられている気がするんだけど。頑張り屋さんって、ちょっといやかなり恥ずかしい呼ばれ方してるし。
「そのわりに学園でのきみの評判は芳しくない。人間の話す噂限定で言うとね。しかし、魔法学園の人工池に住まう水の精霊はきみは悪い子じゃないと言う」
ミゼルカイデンはわたしが学園内で起こしたという出来事をいくつか挙げていく。そのなかにはリーゼロッテがフローレンスに悪意を持って近づいたという、ヴァイオレンツが言っていた例の件も含まれていた。
「それは断じて濡れ衣です。わたしは、フローレンスとあまり関りにならないようにしていましたし」
「ちなみにそのフローレンスがきみの元婚約者と惹かれ合っていたのだろう? 悔しくはなかったのかい?」
ああ、その話ですか。どいつもこいつも、人の色恋沙汰が好きなのね。
わたしのいささか冷めた瞳に気が付いたのか、ミゼルカイデンはやや居心地悪そうに肩をすくめた。
「べつに、わたしとヴァイオレンツ様の婚約は親同士が勝手に決めたことですし。昔は、まあ心をときめかせたこともあったような……気もしなくもないですけど。でも、年取れば馬鹿でも悟ります。あ、この人わたしにまったく興味ないんだなって。そんな人を純粋に想い続けていられるほどわたし純情でもなかったんですよね。ほかに好きな人ができたのならさっさと言ってくれればいいのに」