悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
目の前のフローレンス・アイリーンもまた転生者なのだ、と。
「な、なにが……言いたいの? 悪役……令嬢ってなんのことかしら」
わたしはとぼけることにした。
「あなた……とぼけているの? それとも、バグでも起こしているのかしら」
フローレンスはわたしをじっと見て、それからひとりごとのように呟いた。
「あなたのせいでわたしゲーム内でのイベントを何一つクリアできなかったし。最初の風の精霊以降、水も風も炎も、全部の精霊と守護契約を結べなかった。これってリーゼロッテがシナリオ通りに動いてくれないからよ。そのへんのことちゃんとわかっている?」
「何のことを言っているのか、さっぱり分からないわ。わたしは、自分のやりたいように生活をしていただけよ」
本当は故意にフローレンスと接点を持たなかったし、ゲーム内でのイベントを発生させて彼女を有利にしたくなかったから、イベントが発生しないようにわたしは行動してきた。
水の精霊と彼女が契約を結んだのは、悪役令嬢リーゼロッテが彼女の大事なペンダントを湖に落として、フローレンスがそれを拾おうと湖の中に飛び込んだから。わたしは彼女のペンダントに触れもしなかったし、そもそも湖のほとりでキャンプ(お嬢様仕様の豪華版)自体のイベントを休止するよう根回しをした。
ほかのゲーム内イベントも理由をつけて中止にしたり、フローレンスが精霊と契約するシーンを発生させないように注意深く振舞っていた。
すべては悪役令嬢としてのバッドエンド回避のため。
こっちも自分の人生がかかっていたから必死だった。
「そう。それよ。自分勝手に動き回ってくれちゃうからわたしはちっとも楽しくなかった。ヴァイオレンツ様と、他の攻略対象はわたしを好きになってくれたけど、このゲームの醍醐味は精霊と黄金竜の逆ハーなのよ。なのに、どこぞのあなたのせいで、ぜーんぜんうまくいかないし。レアキャラの黄金竜の貴公子はともかく、精霊との契約が風のみってひどくない? 酷いよね! もうちょーあり得ないっ」
フローレンスの言葉遣いが現代日本のものになりつつある。
あーこれ完璧前世日本人じゃん。
ま、わたしの心の声もかなり砕けまくっているけどさ。
「な、なにが……言いたいの? 悪役……令嬢ってなんのことかしら」
わたしはとぼけることにした。
「あなた……とぼけているの? それとも、バグでも起こしているのかしら」
フローレンスはわたしをじっと見て、それからひとりごとのように呟いた。
「あなたのせいでわたしゲーム内でのイベントを何一つクリアできなかったし。最初の風の精霊以降、水も風も炎も、全部の精霊と守護契約を結べなかった。これってリーゼロッテがシナリオ通りに動いてくれないからよ。そのへんのことちゃんとわかっている?」
「何のことを言っているのか、さっぱり分からないわ。わたしは、自分のやりたいように生活をしていただけよ」
本当は故意にフローレンスと接点を持たなかったし、ゲーム内でのイベントを発生させて彼女を有利にしたくなかったから、イベントが発生しないようにわたしは行動してきた。
水の精霊と彼女が契約を結んだのは、悪役令嬢リーゼロッテが彼女の大事なペンダントを湖に落として、フローレンスがそれを拾おうと湖の中に飛び込んだから。わたしは彼女のペンダントに触れもしなかったし、そもそも湖のほとりでキャンプ(お嬢様仕様の豪華版)自体のイベントを休止するよう根回しをした。
ほかのゲーム内イベントも理由をつけて中止にしたり、フローレンスが精霊と契約するシーンを発生させないように注意深く振舞っていた。
すべては悪役令嬢としてのバッドエンド回避のため。
こっちも自分の人生がかかっていたから必死だった。
「そう。それよ。自分勝手に動き回ってくれちゃうからわたしはちっとも楽しくなかった。ヴァイオレンツ様と、他の攻略対象はわたしを好きになってくれたけど、このゲームの醍醐味は精霊と黄金竜の逆ハーなのよ。なのに、どこぞのあなたのせいで、ぜーんぜんうまくいかないし。レアキャラの黄金竜の貴公子はともかく、精霊との契約が風のみってひどくない? 酷いよね! もうちょーあり得ないっ」
フローレンスの言葉遣いが現代日本のものになりつつある。
あーこれ完璧前世日本人じゃん。
ま、わたしの心の声もかなり砕けまくっているけどさ。