悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「そんな悪役令嬢のあなたは、最後の最後にイミフな行動起こして、死んじゃったとか思っていたのに実は生きていましたとか。余計にわけわかんないわ。しかも! 黄金竜と仲良しとか、炎の精霊から庇われているとか! 何様なの?」
フローレンスが一気にまくしたてる。
その様子は完璧に人格が入れ替わっている、というかフローレンスの元になった前世の人間のもの。
「あなた、どうして竜の卵を盗んだの?」
わたしはそれだけ尋ねた。
どうにも、彼女の行動原理が分からなかったから。
「ああそれ。だって、精霊がゲットできなかったし。やっぱりヒロインたるもの、特別な存在になりたいじゃない。なのに、どこかのあなたのせいでわたしの周りには精霊も黄金竜も現れなかったし。だからわたし、自分から見つけに行くことにしたのよ。アレックスって、あれで竜の生態に詳しくてね。だから彼に持ち掛けたの。竜の卵を盗ってきて、孵化させようって」
わたしが水を向けるとフローレンスは嬉々として語り出した。
「孵化させてどうするのよ」
「どうするって。決まっているじゃない。きっとその子はわたしのことを頼ってくれるわ。わたしも竜の子供を庇護してあげる。わたしは、その子の竜の乙女になるのよ」
嬉しそうに、自分の考えが素晴らしいかのように語るフローレンス。
わたしは、自分勝手な彼女の考えに怒りを覚えた。
「そんなことのために、ルーンから卵を奪ったの?」
「ルーン? ああ、竜の名前ね。あなた、そんなにもその竜と親しくなったの? 悪役令嬢のくせに? わたしのことをいじめる役回りしかないくせに。何様のつもりよ」
「わたしは、リーゼロッテ・ディーナ・ファン・ベルヘウムよ。リーゼ様って呼んでくれていいのよ?」
「ああ、それよそれ。リーゼ様って。よく知っている台詞だわ」
そりゃそうでしょう。わたしだってよぉく知っている。
もちろんわざと言ってやった。
わたしはまだ、怒っている。自分勝手な思いでルーンから大切な卵を奪った彼女に。
ルーンの卵が孵らなかったらあんたのせいだ。
わたしがキッとフローレンスを睨みつけると、彼女は笑うのをやめた。
「ああそう。その顔、いかにも悪役令嬢らしいわね。まあ色々とあったけれど、最後はよしとするわ。やっぱり断罪イベントはちゃんとやらないとすっきりしないし」
彼女は自信を取り戻していた。
フローレンスが一気にまくしたてる。
その様子は完璧に人格が入れ替わっている、というかフローレンスの元になった前世の人間のもの。
「あなた、どうして竜の卵を盗んだの?」
わたしはそれだけ尋ねた。
どうにも、彼女の行動原理が分からなかったから。
「ああそれ。だって、精霊がゲットできなかったし。やっぱりヒロインたるもの、特別な存在になりたいじゃない。なのに、どこかのあなたのせいでわたしの周りには精霊も黄金竜も現れなかったし。だからわたし、自分から見つけに行くことにしたのよ。アレックスって、あれで竜の生態に詳しくてね。だから彼に持ち掛けたの。竜の卵を盗ってきて、孵化させようって」
わたしが水を向けるとフローレンスは嬉々として語り出した。
「孵化させてどうするのよ」
「どうするって。決まっているじゃない。きっとその子はわたしのことを頼ってくれるわ。わたしも竜の子供を庇護してあげる。わたしは、その子の竜の乙女になるのよ」
嬉しそうに、自分の考えが素晴らしいかのように語るフローレンス。
わたしは、自分勝手な彼女の考えに怒りを覚えた。
「そんなことのために、ルーンから卵を奪ったの?」
「ルーン? ああ、竜の名前ね。あなた、そんなにもその竜と親しくなったの? 悪役令嬢のくせに? わたしのことをいじめる役回りしかないくせに。何様のつもりよ」
「わたしは、リーゼロッテ・ディーナ・ファン・ベルヘウムよ。リーゼ様って呼んでくれていいのよ?」
「ああ、それよそれ。リーゼ様って。よく知っている台詞だわ」
そりゃそうでしょう。わたしだってよぉく知っている。
もちろんわざと言ってやった。
わたしはまだ、怒っている。自分勝手な思いでルーンから大切な卵を奪った彼女に。
ルーンの卵が孵らなかったらあんたのせいだ。
わたしがキッとフローレンスを睨みつけると、彼女は笑うのをやめた。
「ああそう。その顔、いかにも悪役令嬢らしいわね。まあ色々とあったけれど、最後はよしとするわ。やっぱり断罪イベントはちゃんとやらないとすっきりしないし」
彼女は自信を取り戻していた。