一目惚れした人は学園の王子様
「奏多先輩、今頑張って急いでますからね。褒めて下さい!!」
自信満々に、そう言いながら、ゆっくり、丁寧に靴紐を結ぶ。
「いやぁ、靴紐を、今ここで結んでる時点で、頑張ってないよね。」
んー、自分では、急いでるつもりなんだけどなぁ。奏多先輩には、そう見えないのかな?
おっかしいなぁ。
そんなことを考えてると、見てなかったせいか、靴紐が解けてきた。
あぁぁ。せっかく頑張って結んだのに。残念。奏多先輩のためにも早く結ばないと。
あ、奏多先輩怒っちゃったかな?
そーっと奏多先輩の顔を覗き込むと、
呆れた表情をしていて、私にこう言った。
「はぁ、美桜ちゃん、なにしてんの。解けてきてるじゃん。」
うぅ、否定できない。だって、本当だもん。あたりまえ。
「あ、うぅ、」
「本当にダメな子だね。ほら貸して。」