最悪な恋の落ち方
「すまない、つい病院にいる気持ちになってしまった。この非常事態では、一人ひとりの行動が誰かの命に関わってくる。お願いだ、最後まで協力してほしい……」

先ほどとは違い、どこか弱い部分も明日菜の目からは感じ取られた。草介はドキドキしながら「わ、わかりました」と言う。明日菜はホッとしたような顔をし、「怪我をした人に大丈夫かどうか声をかけてほしい」と言い草介の手を離す。

離れた手が一瞬で寂しくなった。明日菜の方を見れば、明日菜は草介に背を向けて怪我人の元へと走っていく。その後ろ姿だけを目にしても、彼女の真剣さは嫌というほど伝わってきた。

「協力しますよ、最後まで」

草介はそう言い、怪我をした人たちに声をかけ、動けそうな人は横断歩道から離れてもらった。大怪我をしている人には、明日菜が応急処置をして救急車を待つように声をかけていく。

「あと声をかけていないのは……」

草介が辺りを見回すと、地面に倒れている女性を発見した。目立った外傷などはなく、草介は「大丈夫ですか?」と女性に声をかける。
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