モスキート
アイツの母親らしき人間が露わになった肌にタオルケットをかけ直し呟いた。
「全く・・・こんな格好で寝たら風邪ひいちゃうでしょ」
そこは私のターゲットエリアではない。
顔にこぼれる髪を優しく耳にかけ直すとほほにキスをして窓の方に歩を進めた。
どう考えても神は私の味方であると確信した。
私は部屋が再び閉ざされるのをじっと待った。
母親は大きく開かれていた窓を5センチほどの隙間を残して締めた。
何の問題もない、退路は充分だ。
次に母親は窓際のテーブルの上に置かれた小さなドーム型の置物に置かれたスイッチに手をかけた。
カチッという音がした。
そして再び部屋は閉ざされた・・・・・
ん?
怪しげなドーム型のプラスチックからは小さなランプの光が見える。
静かな静かな私にしか聞こえない音で何かが噴出されているのを感じる。
とてつもなく嫌な予感と悪寒が背筋に走った。
これは噂に聞く最新兵器の毒ガスかも知れない。
十数年前は陶器の豚の人形の中に設置された「線香」という物体から毒煙を発生させていたというが、これは人間も鼻についたそうだ。
そして新たに開発された最新型は我々だけを麻痺させる毒ガスを静かに広い範囲に行き渡らせるという。
都市伝説だと信じてなかったが、現実に目の前の物体がそれだと全身で恐怖を感じている。
やばい!
代々伝わる救助の呪文を唱えてみる。
「一寸の虫にも五分の魂」
「一寸の虫にも五分の魂!」
「いっすんのむしにもーー!!!」
ガスの噴出は止まる気配はない。
パタッ、ポトッ。
どこかに隠れていたのか、麻痺して動けなくなった仲間が床に落ちていく音が聞こえる。
こうなったら動けるうちに一矢報いるか否か。
もちろん「報いてやる!」
「いざー!!」
私は耳めがけて羽ばたいた。
足元を通った時に結界を感じた。
パジャマのズボンには私達を寄せ付けない呪いのシールが貼られていた。
これは巷でもよく知られているディート10%の強烈な結界だ。
さっきの母親の仕業だ。
無難だと思っていた足エリアさえ罠が仕掛けられている。
さすがだ。
母親とはこうあるべき者と敵ながら学ばせてもらった。
これではこの先、幾重にも罠が張り巡らされているだろう。
きっと耳の近くにも。
でも、もう止まらない。止められない。
ぷーーーーーん
ぷぅぅーーん
ぷぅぅん
ぷ・・・
ぷ。
「全く・・・こんな格好で寝たら風邪ひいちゃうでしょ」
そこは私のターゲットエリアではない。
顔にこぼれる髪を優しく耳にかけ直すとほほにキスをして窓の方に歩を進めた。
どう考えても神は私の味方であると確信した。
私は部屋が再び閉ざされるのをじっと待った。
母親は大きく開かれていた窓を5センチほどの隙間を残して締めた。
何の問題もない、退路は充分だ。
次に母親は窓際のテーブルの上に置かれた小さなドーム型の置物に置かれたスイッチに手をかけた。
カチッという音がした。
そして再び部屋は閉ざされた・・・・・
ん?
怪しげなドーム型のプラスチックからは小さなランプの光が見える。
静かな静かな私にしか聞こえない音で何かが噴出されているのを感じる。
とてつもなく嫌な予感と悪寒が背筋に走った。
これは噂に聞く最新兵器の毒ガスかも知れない。
十数年前は陶器の豚の人形の中に設置された「線香」という物体から毒煙を発生させていたというが、これは人間も鼻についたそうだ。
そして新たに開発された最新型は我々だけを麻痺させる毒ガスを静かに広い範囲に行き渡らせるという。
都市伝説だと信じてなかったが、現実に目の前の物体がそれだと全身で恐怖を感じている。
やばい!
代々伝わる救助の呪文を唱えてみる。
「一寸の虫にも五分の魂」
「一寸の虫にも五分の魂!」
「いっすんのむしにもーー!!!」
ガスの噴出は止まる気配はない。
パタッ、ポトッ。
どこかに隠れていたのか、麻痺して動けなくなった仲間が床に落ちていく音が聞こえる。
こうなったら動けるうちに一矢報いるか否か。
もちろん「報いてやる!」
「いざー!!」
私は耳めがけて羽ばたいた。
足元を通った時に結界を感じた。
パジャマのズボンには私達を寄せ付けない呪いのシールが貼られていた。
これは巷でもよく知られているディート10%の強烈な結界だ。
さっきの母親の仕業だ。
無難だと思っていた足エリアさえ罠が仕掛けられている。
さすがだ。
母親とはこうあるべき者と敵ながら学ばせてもらった。
これではこの先、幾重にも罠が張り巡らされているだろう。
きっと耳の近くにも。
でも、もう止まらない。止められない。
ぷーーーーーん
ぷぅぅーーん
ぷぅぅん
ぷ・・・
ぷ。