僕らのお嬢
冗談交じりに笑いながら言う俺に、お嬢は心底嫌そうな顔をする。

「それより、時間がないんじゃなかったのか?」

しっかりと耳にピアスをつけたお嬢が首をかしげながら聞く。

「そ、そうだよ!!早くしないと遅刻しちゃう!!」

セイヤが慌てたように言う。

「つか、これも全部お嬢の・・・」
「私がどうかしたか」

ぼそりと呟いたオレを切れ長の目でお嬢は睨む。

「・・・何でもないです」
「早く行くぞ。リョウ、私の朝食を持ってこい」
「え、食べてかねーのかよ」
「馬鹿、車で食べるんだ」

そう言うと、お嬢はさっさとリムジンに乗る。
そして、艶のある黒髪をばさっと靡かせる。



こうして、俺たちとお嬢の一日が始まった。







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