僕らのお嬢
「お前たち、少し私をナメていないか?私はな、実はやればできる子なんだぞ」

親指を立てながら自信満々に言うお嬢を、俺たちは呆れたようにを見る。
その視線にお嬢はたじろぐ。

「な、なんだその視線は・・・・」

俺たちはお嬢を一瞥すると、ため息をつく。

「「「「別にー・・・・?」」」」
「お、お前ら・・・・!!」
「とにかく、追試は明日ですから、合格できるように勉強してください」
「わ、分かっている!!絶対に合格してやるからな!!」

お嬢は胸の前で腕を組むと、ふいっと横を向き、眉間にしわを寄せる。
あの表情はかなり焦ってる。こりゃランク落ちも覚悟しねぇとな・・。

「か、カンナ様・・・・・そろそろお時間です・・・」

二階堂のそばに眼鏡をかけ、ひ弱そうな男がおどおどと近づく。
彼は二階堂の執事「黒田 光行」(くろだ みつゆき)だ。

「分かりましたわ、黒田」
「黒田。こんなバカな女におどおどなんてしなくていいんだぞ?」

お嬢はいつもおどおどしている黒田に声をかける。すると、黒田は声をかけられたことに驚いたのか、「ひぃぃっ!」と奇声を発して飛び上がる。

「バカとは何ですの!?それと、あまりうちの黒田をいじめないでくださいませ!!行きますわよ、黒田」

二階堂は踵を返して歩き出すと、黒田は慌てて追いかけるが、途中で立ち止まり、俺たちを振り返るとペコリとお辞儀をしてまた二階堂の後を追っていった。

「可愛そうに、黒田・・・。あんなバカンナを主人に持つとは・・・」
「人のこと言えた義理じゃねーからな」

しみじみと言うお嬢に、オレは呆れたように釘をさす。





そしてその夜・・・

「うーん・・・・・」

一向に進まない問題とにらめっこをしているお嬢は、頭を抱えて唸っていた。



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