僕らのお嬢
「おい、お嬢。これこの前習っただろ」
「そうなんだが・・・。どうも解き方が思い出せない・・・」

シャーペンを握りしめたまま、ぐぬぬ、と問題を見つめるお嬢。心配して横から問題用紙を覗き込むと、そこには何も書き込んだ後はなく、まだ白いままだった。

「おいおい・・・全然進んでねーじゃねーか」
「・・・進んでいる。時は刻一刻と。日が昇るまでの時間はまだ何時間もあるわけではない。あと何時間しか・・」
「わけのわからないこと言って現実逃避するのだけはやめよーな」

目をつむって自分の世界に入り込もうとするお嬢を、なんとか現実に引き戻し、問題用紙と向き合わせる。

「他の奴らは『ケレース』からスタートで、お嬢は優遇されてんだから頑張れよ」
「・・・うむ」
「『ネプトゥーヌス』てことは二年生の大半と同じくらいの地位だろ。一年生でサファイヤのピアス付けてんのお嬢とカンナだけだぜ?あとはみんなトパーズだ」
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