君と私で、恋になるまで
prologue
◻︎
「……あんた達って、やっぱセフレなの?」
「ぶっ」
私は今来たばかりのアイスティーを大袈裟ではなく若干吹き出した。
平日のAM 11:50。
店内は、ランチを求めてやってきた会社員で大賑わい。
何度も来たことのある、店内がお洒落だと評判のイタリアンレストランで、真昼間から女2人が始める会話としてこれは合っているのだろうか?絶対合ってなくない?
「きったないなあ、もう!」
目の前の彼女は、そう言いつつもテキパキとおしぼりでテーブルを拭いてくれた。
ありがとう流石出来る女。でもあんたのせいだ。
「亜子がいきなり変なこと言うからでしょ!?」
「24歳にもなって何を動揺してんだか。
男と女があんだけ頻繁に会ってて、付き合ってない?
そしたらもう体の相性が良い一択でしょうが。」
「…は、果たしてそうかな?極論が過ぎないかな亜子さん?」
「実際どうなわけ?
あいつあんな涼しいルックスしてセックス下手とかまじで笑えな…
「鮭とキノコのクリームパスタでございます!」
「わあ〜めちゃめちゃに美味しそうダナー!!」
店員さんがこの最悪な会話のタイミングで料理を運んでくれたことに動揺し、私の反応も不自然極まりないものになる。
絶対聞かれてたよ何故なら店員さんの目が勢いよく泳いでるよ。粋がいいよ。
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