君と私で、恋になるまで
「…あのさあ。お洒落なビアガーデンじゃなきゃ駄目?」
「……何が?」
突然投げられたそんな問いかけに首を傾げた。
「何が?じゃ無いわ。さっき送ってきただろ。」
《瀬尾、ビアガーデンまた付き合ってくれる?》
「っ、!!」
あんなに悶えて苦しんだ筈なのに、この男の登場ですっかり自分の爆弾の投下を空の彼方へ忘れていた。
思い出された先程のメッセージに、顔にもどんどん熱が集まる。
「……やっぱりハイボールとか、枝豆が落ち着くわ。」
「へ?」
苦い顔でそう呟く男の発言に驚いて、そう聞き返してしまった。
「最初適当に頼んだドリンク、変な味して全然飲めなかった。」
「…メニュー見てサラリと注文されてましたけど。」
「うん、ごめん。枡川よりは詳しいとは思うけど、俺もあんまりああいう所詳しくない。」
"枡川よりは"という前置きが気にかかる。
この男、全然譲らない。
だけどそんな風に吐き出された本心に、やっぱり私はおかしくなって。
「…私達には早かったね。」
笑いながらそう告げれば、
「……だからさ。
普通のビアガーデンでも良い?」
そっか、瀬尾は私がそこへ凄く行きたいと思ってる。
普通のビアガーデンってなんだろう。
この男は鋭いのか、鈍いのか、たまによく分からない。