君と私で、恋になるまで
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「チラシ配りと、ブースまでの案内をお願いします。とりあえず1時間したら戻ってきてくれる?」
「分かった。」
展示会が始まるまで、あともう直ぐ。
ガヤガヤと各会社共にスタッフが増えて、会場全体がより一層活気立つ。
うちのブースは営業部隊と、瀬尾を含め応援に来てくれたスタッフ含めて約20人。
全員が蛍光イエローを着てるので、確かによく目立つし、もはや目がチカチカする。
「…え、なにそのTシャツ。だっさ!!」
「あれ、亜子なんで?お疲れ様。」
「頼まれてた新商品のパンフレットの発注、ギリギリになったから届けにきただけ。なんなのそれ。」
ドン引きの顔で現れた総務部の彼女は、周りのスタッフにお疲れ様です、と声をかけつつ私と瀬尾に近づく。
綺麗なロングの髪を背中へと送りながら、私を下から上まで舐め回すように見てきた。なんでよ、確認するのはTシャツだけで良いじゃん。
「……亜子も着る?」
「勘弁してよ。てかめっちゃ目立つわよこれ。入ってきてすぐ見えたわ。」
「じゃあ本望だよ。」
どういうこと、そう呟きつつ、途中で買ってきてくれたジュースなどを私に手渡す。なんだかんだ優しい。
「…あんた似合うじゃない。」
「……」
「は?無視はきもくない?」
ねえどう思う?と、瀬尾にスルーされたことに対して綺麗に微笑んで私にそう問いかける亜子に私も乾いた笑い声を届けることしかできない。
本当、亜子と瀬尾はなんでか知らないけど犬猿の仲だ。