君と私で、恋になるまで



「…ちひろ。こんなあやふやにして、曖昧なまま終わったらどうすんの?」


私の気持ちはずっと前から、とっくに風船が膨らみきった状態で。
弾けるのも、きっと時間の問題。
そんなギリギリの危ういラインを綱渡りしている。


あの男は?

私への気持ちの中に、
同期に対するもの以外が、あるのかな。

答えの見えない問いかけに、簡単に足は竦む。



___だけど。

「…亜子の言う通りだね。」

「うん?」

「もうそろそろ進まないといけないって、分かってる。」


どこまでも意気地なしの私は、あの気怠い男の笑顔を見ていたかった。

でも、ずっと此処にいるわけにはいかない。


____好き、なんだから。



「…同期から、抜け出せるかな。」

頼りない声で表情を崩してしまった私を、亜子はやっと優しく包むように笑って頷いてくれる。 


「頑張って。」

「うん、ありがとう。」


「頑張って気持ち伝えて、」

「……うん?」

「で、押し倒せ。」

「なんでやねん。」


ハレンチってそういうもんだから、という謎の言葉でご飯を口に運ぶ亜子の泰然たる態度に笑った。


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