君と私で、恋になるまで
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午後のメールチェックを終えて今度の打ち合わせ用の原稿を作成していた時だった。
PCの社内で使用されているチャットが通知を知らせて、そこに“瀬尾 央“と表示されているだけで私の胸は簡単に騒がしくなる。
《今日、同期会行く?》
《行くよ。瀬尾も行くんでしょ?》
《うん。古淵の必死さがすごかった。》
《なるほど。》
そこで、少し沈黙ができてしまう。
私は意を決して、同期会の後に少し時間が欲しいと告げようとした瞬間だった。
《あのさ、》《あのさ、》
…か、被ってしまった。
《なんですか枡川さん。》
《いえ、瀬尾さんからどうぞ。》
《じゃあ。今日の同期会の後、
お時間いただけますか。》
「え…」
私が奴に言おうと思っていたことを先に告げられて、面食らってしまった。
何だろう。そう思いながらも返事を打ち込む。
《分かった。》
《枡川の話は?》
《あ、私も同期会の後にお時間を頂戴したく。》
《何、それも被ってんの。了解。》
チャットからじゃ、あの男がどんなトーンで打ってるのかはよく分からない。
でも、何か私に話したいことがあるのは確かなのだ。
終業時間までまだ全然あるのに、もう既にソワソワしてしまう自分を落ち着けるように、一度深呼吸をする。
そして、取引先へ提出する資料をコピーしようと立ち上がった瞬間だった。