君と私で、恋になるまで


「アドバイザーのやつだよね。なんかあったの?」


保城さん達が主体となって動いている、リニューアル後のオフィスの活用について考える委員会で、瀬尾がアドバイザーに任命された件だ。


いつもは全体での打ち合わせの後に別途時間を作って話し合っているのは知っているけど、わざわざそのために行くなんて珍しい。


素朴な疑問としてそう尋ねると、


「今日はタクシー使う?」

「……あのさ、私に話聞けってよく言うけど瀬尾も私の質問たまに無視するよね。

あと、タクシーは使いません。」


即答でそう返事すれば、男は私の答えを予期していたかのように楽しそうに笑う。

何、そういう顔も心臓に悪いのに朝からやめてよ、と言えない気持ちを隠して隣で立つ気怠い男をただ見上げれていれば、


「さすがうちのリーダーはブレないな。」


そうゆるく口角をあげて、じゃあまた午後に、と告げて去っていった。



リーダーと、そう呼ばれるのも香月さんのプロジェクトが終わるまでだ。


少し擽ったくて、でも嬉しくて、簡単に私の力になってしまう。


最後まで大事にしなければ。

そう意気込んでパソコンを開いた。


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