君と私で、恋になるまで
「私最近、家庭菜園始めてみようかな?っていう気持ちあるんだよね!」
「それは、無事始めたら聞いてあげるわ。
今はあんたとあの男のセフレ事情の方が大事だから。話逸らすな。」
「……」
亜子が刃物のように鋭く話題を軌道修正してくるので、私は返す言葉を失ってしまった。
ジトリ、上目遣いで睨む私は、頬杖をついた亜子と暫く見つめあっていたが。
今度は、亜子の方が軽く吹き出した。
「ごめんごめん、流石にからかい過ぎたか。」
そう軽い口調で言いながら私にスプーンとフォークを手渡す。
「………びっくりするくらい、何も無いよ。」
それを受け取りながら、やっと呟いた言葉は想像以上に頼りなかった。
亜子はそんな私を見て、困ったように笑う。
「…ほんと、拗らせてんだから。
帰り際にキスくらいかましてやんなさいよ。」
「できるわけないでしょうが!?」
そんなことがスマートに出来る女子だったら苦労していないのだ。