君と私で、恋になるまで
「……心配かけるだけじゃなくて、瀬尾にもそう思ってもらえるように頑張る、から、」
言葉が、詰まってしまう。
積み重ねてきた想いがあまりにも大きくて大切で、容易く表現することが出来ない。
じ、とそんな私の言葉を聞いていた瀬尾は、腕を掴んだままゆっくりと言葉を紡いだ。
「…皇先輩の会社で、作成したリーフレットを貸して欲しいって確かに頼んだよ。
でも俺は、別に記事の中で枡川のことを紹介して欲しいとか、そんなことは一切言ってない。
自然と、ぜひ枡川リーダーのことを取り上げましょうってそういう流れになった。
それは、お前が頑張ってきた証拠なんじゃ無いの。
俺はずっと、お前が同期なのは自慢だけど?」
いつものロートーンで告げる言葉が私の感情全てを揺さぶる。
もう今すぐに泣き出してしまいそうだったけど、なんとか堪えて笑ってみせた。
「…瀬尾も、あの私の後ろ姿の写真見たんだよね。」
「うん、やっぱりお前は自慢だなと思った。」
「からかってるでしょう。」
「うん。」
愉快に微笑んでそんな風にあっさり認める瀬尾に怒ってやりたい気持ちよりも、優しく心へと浸透する気持ちのせいで力は抜けて、やはり私も微笑んでしまった。
「枡川が今日、ちゃんと笑って帰って来られたら言いたいと思ってた。」
「……え?」
告げられた言葉に自ずと視線をあげれば、綺麗な奥二重の瞳に一瞬で吸い寄せられる。