君と私で、恋になるまで




「…でも、日々、反省の連続です。」


今日の現場での出来事を思い出しながら、力なくそう言えば、男は至近距離でふ、と息をこぼす。


「反省も落ち込むのも、お酒があった方がいいんじゃ無いですか?」

「……あると、嬉しいです。」

「……梅水晶とたこわさと、塩辛は?」

愉快に笑ってそう提案してくる男に、募る気持ちはもう多分ずっとこれからも増える一方だと思う。



「………瀬尾。」

「ん?」

「…今日、ごめんね。」


電話では伝えていたけど、もう一度やはり直接するべきだと謝罪を告げれば、男はそれを黙って受け止めて、困ったような反応を見せる。


「良いよって、言っただろ。」

「映画、古淵と行かなかったの?」


「あのさ、恋愛映画を男2人で観るの何の苦行なの?しかもアレと。」


げんなりとストレートに伝えてくる男に、少しだけ表情が緩んでしまう。


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