君と私で、恋になるまで


《今日は4人でランチに行きます!!!!!!
決定事項です!!!みんなのスケジュール確認して外出もお昼間際の会議無いのも知ってるから、逃げられません!!!!!》



休み明けでテンションの上がらない月曜日。

パソコンを眺めて消耗品の発注をいつものルーティンだと流しつつやっていた時、チャットでメッセージが届いた。



「…文字なのに煩い。」

1つ小さく息を漏らした私がそれを確認すると、グループまでわざわざ作って送ってきていた。


私と、恋愛話になるとすぐに顔が赤くなる女と、常に怠そうなくせに彼女にぞっこんな男への、メッセージ。


4人で集まるのは少し久々な気がする。

少しふ、と息を吐いて、私はチャットに「了解」とだけ送った。



◻︎



そして集まったのは、会社近くのお洒落空間が人気のイタリアンレストラン。

ここでちひろは、私の発言にアイスティーを吹き出したことがあったな、と思うと少し笑えた。



先週の金曜日。

私と飲んでいたちひろは、ドヘタレ男を迎えに行く時に真っ赤な顔で宣言をした。


___"私もね、瀬尾が凄く好きなんだ。"

あの言葉で流石のアホ古淵も何か勘づいたらしく、集まってすぐに瀬尾に、

「俺は悲しい!!!!なんで報告してくれないの!?」

と詰め寄っていたけど、男はどこ吹く風だった。



テーブル席に座って、それぞれ料理が来るのを待つ間、古淵はルンルンで2人の馴れ初めを聞きたいと言う。

「……次はお前か。」

と、ダルそうな男が切れ長の瞳を細めて低めの声を出していて、成る程もうこの拷問にあったことがあるのだなと理解した。ざまあ。



それでも、戸惑って言い淀むちひろを一瞥した男が、溜息と共に

「…入社式でお前が堂々と爆睡してんの見てた枡川が笑ってるの見て、気になっただけ。」


不服そうに、でも正直にそう告げたのは意外だった。

こいつは私と絶対に似ていて、自分から恥を晒すなんて回避する奴だと思っていたけど。

何か心境の変化でもあったのかと探りを入れたくなる。


でも、私が言葉を発する前に、

「……え!?俺がキューピッドってこと!?」



そう言うアホのせいで引っ込んでしまった。


どんだけポジティブなの?





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