君と私で、恋になるまで



グループワーク自体は、"新しいオフィスの企画・立案"という何ともあるあるなもので。

面接官が見守るというよりもはや見張っている中で行われる話し合いは、当然緊張感がある。


男女比が同じくらいの7人グループで、役割を決めて進める最中に、私はあることにすぐ気がついた。


「(あー隣の男、めっちゃ見てくるな。)」


人からの好意だとかそういう感情に鋭すぎるのもどうかと思うけど。つかお前、面接に集中しろやと言ってやりたいけど。


聞いてもないのに自己紹介で、有名な私大出身であることまで晒してきた笹女《ささめ》と名乗る男は、ルックスを含めて考えても何一つ心惹かれるものは無い。ジャガイモだ。

心のシャッターを完全に下ろして、なんとか過ごして午前中を終えて。

そもそもグループワークなんて怠い時間の中に、やけに活躍してる風を装ってアプローチしてくるジャガイモのせいで無駄に疲れた。



グループのみんなで会議室のテーブルで食事をしている時も、

「皆んなはこの会社をどうして志望してるの?」

なんて面接だけで充分だわとげんなりするような質問を振ってくるジャガイモは、まず自分の大学時代の経験を鼻高々と語る。

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