君と私で、恋になるまで
”暫く、土日はインターンの準備以外の案件整理で追われそう。現場もあるし。”
”大変なループを抱えられてますね…お疲れ様。”
”そっちも引継ぎお疲れ。
休日会えるのはインターン終わった週末だな。”
”そうだね”
”寂しい?”
”…そりゃ寂しいけど。”
”素直。”
鼓膜を擽るロートーンボイスは、何故だか心まで柔くいつもほぐしてしまう。
そっちは寂しくないの、とは、恥ずかしくて聞けなかった。
「どヘタレがやっとプロポーズしたと思ったら、
ま~たこっからなかなか話進まないんだけど。」
「…なんか、すいません?」
ランチを終えてオフィスへ戻る道すがら、亜子は嘆息しつつやれやれと肩をすくめた。
「両家顔合わせとか、おもしろ……間違えた、
大事なイベント沢山あるんだから、もたもたしてらんないのよ。」
「今面白いって言わなかった?」
「なんなら式場の打ち合わせ、
代わりに私が行く?」
「え、なんで?」
冗談よ、と口をとがらせる亜子こそ、最近の恋愛はどうなんだろう。
この女がモテることは間違いないし、本人も自覚してはいるだろうけれど、だからって、遊んだりするタイプでも無い。
「…亜子は、」
「ん?」
「……いや、今日も好き。」
「はあ?知ってるわ。」
躊躇うことなく彼女らしさ全開の返事を受けて、意図せず微笑んでしまう。
また改めてゆっくり、その辺りについては聞こうと決めた。