君と私で、恋になるまで
「企画だけして古淵に投げた合コンね。俺はさっきまでオフィスで仕事してましたけど?」
「……は?」
何…?
「し、仕事だったの…?」
「僕、枡川さんに今週の初め、そう言いませんでした?」
にこり笑う瀬尾は、目が全然笑っていない。
この顔、その件をエレベーターで話したときに見た笑顔と同じだ…!怒っている顔だったのか、とそこで気づく。
私は自分の勘違いに気がついて、背中を汗がだらだらと流れていく感覚が止まらない。
というか古淵…!!お前は大事なところを…!!
「保城さんが凄い熱心に提案してくるからさ。応えてあげたほうがいいのかなと思って。」
…応え方を180°間違えているとは思うが、この男は確信犯なのだろうか。
でも、瀬尾は合コンに行くつもりがなかったんだ。
そう思うと、何だかホッとして思わず微笑みが漏れる。
「で?」
「…へ?」
「枡川さんは帰り際、何をそんなお怒りだったんですかね。」
「っ」
そう言って笑う瀬尾の顔は、もういつものゆるりとした笑顔で。
私はお酒のせいでは無く、顔が熱くなっていくのが分かる。
「さ、さあ…?」
そう、か細い声で惚けると、クスクスと笑われた。
この男、どこまで分かって聞いてきてるの。