君と私で、恋になるまで
「……ア、アド…?」
「アドバイザーです。」
「…えっと。うちの瀬尾をですか…?」
「はい。」
微笑む彼女を前に、ぱちぱちと瞳を瞬くしか出来ない自分がいる。
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ここは、大事なクライアントである、それでいてもうすっかり行きつけになってしまった香月さんの会社。
入念な打ち合わせや調査をもとに、オフィスリニューアル後のレイアウトも、コンペの時以上に相当かたまってきた。
次回はチーム総出で伺って、完成イメージの刷り合わせを行う予定だ。
そんな、いよいよ大詰めを迎えようとしている中、
1人で訪れていた私に打ち合わせ後に話があると少し困った笑顔で香月さんに言われた。
そしてその要望をすんなり受け入れた私の前に姿を見せたのは、
____保城さんだった。
彼女は、今日は適度にゆるさのあるシニヨンを左サイドに作ったふわふわのヘアスタイルで、とても可愛らしい笑顔で現れた。
香月さんの隣の席についた彼女は、私に資料を差し出しながら、徐に愛らしい声で説明を始める。
「オフィスリニューアルに伴い、弊社でも社員に向けた新しいオフィスを通しての新しい働き方について、提示していきたいと思っています。
折角フリーアドレス制を導入したり、新たにカフェスペースなんかもできるわけですから上手く活用してもらいたいなと。」
「なるほど、それは勿論その通りですよね。」
分かりやすい図と共に簡潔にまとめられた資料を確認しながら同調すると、今日はコーラル色のリップを乗せた形の良い唇を持ち上げて、保城さんは微笑む。
なんとまあ可愛らしい。