君と私で、恋になるまで
「…目、輝きすぎ。」
そんな私を見た瀬尾は、耐えられないと言わんばかりに視線を外しながら楽しそうに微笑む。
そういう顔も私の胸の高鳴りを助長するって、この男は分かってるのかな。
「ビアガーデン、今日ぴったりだね。」
「なんか、この辺にお洒落で良さそうなとこあるらしいんだよな。」
「…い、行こう!!!」
「だから、勢いすごすぎ。」
クスクス未だ笑い続けながら、私の言葉に頷いてくれる瀬尾に私の頬も緩む。
「お洒落なビアガーデンってどんな感じ?」
「出てくるものがお洒落なんじゃない?」
「…もしかしてこれは瀬尾もよく分かってないね。」
「いや枡川よりは流石にそういう所にも詳しいから。」
悪かったな、大衆居酒屋ばかり好む女で。
ジトリ睨むのに目の前の気怠げな男は楽しそうなままだ。
「…今日、頑張ろう。」
「りょーかい。じゃあタクシー捕まえよ。」
「じゃあ、じゃ無いわ。早く行くよ。」
単純な私は、突然出来た予定によって、この暑さの中でも足取りが軽くなる。
そんな私の後ろで「まじでこの人ブレない。」と諦めながらも、のらりくらり歩く瀬尾に笑った。