極悪聖女
「私、本当に頑張って来たのよ。小さい頃からお師匠様について、どんな危険な場所にも行ったし、1000人以上リザレクションで生き返らせてあげたのに」
「うんうん」
「変な噂を真に受けて、みんなが私を魔女だって……。ほんと酷い。それもこれも、二股かけた王子のせい。お爺さんもそう思うでしょ?」
「うーん。こんなに愛らしいお嬢さんが恋人だったら、余所見なんてせんがのう」
「でもしたの。フィリップ王子は、私に結婚も申し込んだのよ。それなのに、貴族のミアだかモアだかって女の子に入れ込んで、妊娠させて、私を棄てた」
「可哀相に」
お爺さんが優しく頭を撫でてくれる。
お爺さんの優しさに、今日もまた、泣けてきた。
「愛してたのに……何がいけなかったの?」
「お嬢さんは何も悪くない。王子は見る目がなかったんだよ」