極悪聖女
だんだん理性が戻ってくると、恥ずかしくなってきた。
でも、目の前に膝をついてずっと優しく見守ってくれたお爺さんの顔を見ていると、恥ずかしさも消えてしまった。
お爺さんは、私を受け止めてくれる。
今日も、受け止めてくれた。
「……っく、……っ」
「フレヤ、お茶を淹れてあげようね。うんと甘くしてあげよう」
「ありがとう……」
お爺さんがやかんを火にかける。
私は涙を拭いて、洟をかんで、呼吸を整えて待った。
やがて紅茶のいい香りが漂って、テーブルにミルクティーが並んだ。
いつものようにお爺さんと向かい合って、お茶を飲む。
「……ごめんなさい、取り乱したりして」
「なに。いいさ。いくらでも聞いてあげるから、我慢せずに言うんだよ」
「うん。お爺さん、ありがとう」
ナッツを摘まむと、ポリッといい音がした。