極悪聖女
お爺さんが小さいナッツを口に入れて、もごもごと食べているのが可愛い。
つい微笑んでしまう。
お爺さんも、目尻を下げて微笑んでくれた。
「私、男はもう懲り懲りだわ」
「駄目だ。こんな美人がひとりでいるなんて勿体ない」
「だって好きになれないもの。調子よくて、馬鹿で、傲慢で、薄情で」
「そうじゃない男もいる。永遠に愛してくれる男が」
「嫌いよ」
「おやおや」
ツンと拗ねて見せても、お爺さんはほくほくと微笑んだままだ。
「……」
私も、奢り高ぶっていたのだと悟る。
国の為、王子の傍で、多くの民を守ってきた。だから、たったひとりと向き合う事がなかったのかもしれない。
もし、お爺さんだったら……
そんな事を考えて、悲しくなった。
もしもを考えても仕方ない。私は村娘ではなく聖女として生まれた。
でももし、お爺さんのような男性と出会えていたら……
「どうしたんだい?」
「ううん。なんでもない」
優しい時間に水は差したくない。
こうして、お爺さんとの穏やかな時間が過ぎていった。
つい微笑んでしまう。
お爺さんも、目尻を下げて微笑んでくれた。
「私、男はもう懲り懲りだわ」
「駄目だ。こんな美人がひとりでいるなんて勿体ない」
「だって好きになれないもの。調子よくて、馬鹿で、傲慢で、薄情で」
「そうじゃない男もいる。永遠に愛してくれる男が」
「嫌いよ」
「おやおや」
ツンと拗ねて見せても、お爺さんはほくほくと微笑んだままだ。
「……」
私も、奢り高ぶっていたのだと悟る。
国の為、王子の傍で、多くの民を守ってきた。だから、たったひとりと向き合う事がなかったのかもしれない。
もし、お爺さんだったら……
そんな事を考えて、悲しくなった。
もしもを考えても仕方ない。私は村娘ではなく聖女として生まれた。
でももし、お爺さんのような男性と出会えていたら……
「どうしたんだい?」
「ううん。なんでもない」
優しい時間に水は差したくない。
こうして、お爺さんとの穏やかな時間が過ぎていった。