極悪聖女
お爺さんのために新しい茶葉の調合をしている最中だ。
風邪をひかないようにという事ばかり考えてきたけど、いくら予防したってひくときはひく。なんといってもお爺さんは老人なのだから。
咳を止める、器官に利くお茶。
解熱鎮痛に優れたお茶。
鼻水を止めるお茶。
あまり苦すぎると吐いちゃうかもしれないから、美味しくしないと。
「るぅ~ん♪ たらららぁ~♪」
サッサッ。
茶葉を計る。
シュンシュン。
お湯が沸いた。
ゴリゴリゴリ……
粉末状は水出しに最適。
「美味しくなぁ~れ♪」
そこは魔法じゃどうにもならない。
それぞれ3パターンずつ、全部で9個のガラス瓶で抽出する。
淡くて色とりどりのお茶がとても綺麗。
「……」
頬杖をついて眺めていたら、唐突に思いついた。
私は納戸から水晶を引っ張り出して、枕の上に恭しく置いた。透明で、丸くて、いろんな表情を見せてくれると言えばコレだ。
そして、私は禁断の扉を開いた。