極悪聖女
9 お爺さんの回想
「……」
「……」
今日も、お茶が美味しい。
「……」
「……どうしたんだい、難しい顔して」
お爺さんは、今日、エッグタルトを持ってきてくれた。
ついつい食べ過ぎてしまいそうになる美味しさだ。
「あのね、お爺さん。私……」
「うん」
「ここに来た時、すごく……その……動揺してたから」
「そうだったね」
うんうんと穏やかに頷いてくれるお爺さんは、記憶を手繰るように目を細めた。元々しわくちゃで細くて可愛い目が、糸みたいになる。
ますます可愛い。
「それでね。私……お爺さんに、礼儀正しくできなかったなって……」
「ええっ?」
可愛い糸みたいな目が、パチッと開いた。
「そんな事を気にしていたのかいっ? フレヤ! なんてこった!」