極悪聖女
 

「思い出そうとする事が脳を活性化させるって聞いたわ、呆け防止にいいって」

「そうか! やっぱりフレヤは物知りだね。いいぞ、もっと思い出してみようっ」

「あと、笑うのもいいんだって……」

「そうかっ! いやぁ、フレヤといるといつも楽しくて、若返れそうだ♪」


ご機嫌なお爺さんを眺めて、気まずさと嬉しさの板挟みになる。
お爺さん……やっぱりちょっと、忘れっぽいよね。

名乗ったか、そうじゃないか、早く思い出してもらえないかな。
そもそもそれを忘れちゃった……?


「それで、どうしてこんな事をしてくれるのかって尋ねたら、はははっ! フレヤは、吠えたんだ。『ここに住むのよッ!!』って。いやぁ、雷が落ちたみたいに強烈だった」

「……そう」


うん、楽しそう。
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