極悪聖女
みんなを守ってあげたい私は、もういない。
だけど、この悲しみや寂しさを誰もが味わっているなら、なんとかしないと。
「……ッ、お爺さん……っ」
「なんだい?」
お爺さんは、相変わらず私を優しく見守っていた。
私はお爺さんの目を見据えて、訊ねた。
「私が、すごく正しくて善い事をしたら、お願いを聞いてくれる?」
「ああ。出来る事なら、なんでも。フレヤが悪い事をしたって、聞いてあげるよ」
「いいえ。善い事をするの。だからお爺さんは、絶対に断れないのよ」
「そうかい? なんだろうね」
お爺さんが小首を傾げる。
私は、決意した。
ここまでやれば、そのあと私がやる事もきっと、許されるはずだ。
「私、世界を救ってくる」
「お?」
お爺さんがキョトンと目を見開いた。