極悪聖女

 
「とても綺麗だったよ、フレヤ。どんな魔法だい?」

「占いよ。この国を救う聖女を見つけて、私の力をあげたの」

「おおお」


お爺さんは感動している。


「すごいなぁ。本当に世界を救うんだね。フレヤは偉い子だ」

「違うの。ただ……」


お爺さんは、幼児の言葉を待つように首をかしげ、優しく促した。
私は、手をプラプラさせてお爺さんを正面から見つめた。


「普通の女の子だったの」

「そうか。よく頑張ったね、お疲れ様。そしてありがとう、フレヤ」


とてもとても、優しい、労いの言葉。
 

「……ええ、ありがとう……頑張ったわ……」


また涙が込みあげてきたけど、感動したのか、悔しいのか、わからない。一言では表せない感情で私は泣いた。
それから頬の涙を拭いて、お爺さんに人差し指を向ける。


「ちょっとだけ力を残しておいたの。便利だから」
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