極悪聖女
「そうかい」
「善い事をしたらお願いをきいてくれる約束、したでしょう?」
「ああ、そうだね……フレヤ?」
お爺さんの肉体に私の最後の力を振り絞って魔法をかける。
白い髪が優しい亜麻色に、皺くちゃの肌が肌理細やかに、曲がり気味の足腰がまっすぐに。私より少し年上くらいまで若返らせたのは、無意識の私の趣味かも。
「……これは……!」
異変を感じて、自分の手足を見ながらお爺さんが目を丸くした。
ううん。
もう、お爺さんじゃない。
「カイス」
「!」
逞しい体に抱きついて、広い胸に顔を埋めた。
「私を幸せにして。一緒に、人生を歩んでほしいの」