極悪聖女
「んっ」
「え?」
仰向いて、唇をすぼめる。
「ほら、んっ」
「フレヤ、気が早いな。最近の若い子は……」
「んー!」
チュッ。
短い、可愛いキスだった。
これから重ねていく、熱くて甘いキスの、最初の1回。
気分もすっかり若返ったカイスが、私に熱い愛を注いでくれるのは、もうちょっと先の話だ。
◇
「ラフィーア! こっちに来てお母さんを手伝って!」
「はーい!」
「ズィヤード! ちょっと、どこから持って来たの!? 置いて! 危ないから、そのお皿置きなさい!」
「やーだッ!」
「ただいま~」
夕食の支度をしているところに、カイスが帰ってきた。