極悪聖女
「ね、母さん。今からキノコ入れてくれる!?」
「ええ。スープにもサラダにも、ソテーにも入れてあげる。あと、お皿を守ってくれてありがとう」
「違うよ! 父さんが踏むといけないと思って、父さんを守ってあげたんだ! ね、ソテーにして? バターたっぷりのがいい!」
「ナハラ、ありがとう」
カイスが両腕に2人ぶら下げて、ナハラに優しく声をかけた。
きっと外で手伝っている間も、危険から守ってくれているのだろう。力を受け継いだ子が心優しい子でよかった。
あ、違う。
優しくないわけない。
だって、カイスと私の子だもの。
「ねえ! キノコのバターソテーがいいっ!」
そして朗らかで、ちょっとだけ我儘。
「わかった。じゃあ下ごしらえ手伝って」
「はぁーい!」
「私も! お父さん、下ろして!」
「あー!」
賑やかな子供たちに囲まれて、私はとても幸せに暮らしている。