ずっと一緒に旅をしていたオオカミが魔王だった件
牙を剥く巨大な狼に男たちは再び腰を抜かし命乞いを始める。その光景に興味なさげに鼻を鳴らしたブライトは低く響く声でこう告げた。
曰く、自分は神の使いである
曰く、世界は魔族により滅亡の危機にある
曰く、魔族を倒せるのは光の勇者であるノヴァだけである
その証拠にお前たちの傷を治してやろう。
言葉通りに一瞬で身体が回復した領主の使いたちは──それだけでブライトを盲信した。
痛みと恐怖で混乱していたのは確かだろうが、たぶんアイツらは腐れ貴族の下で働いているくらいだから元々頭が弱かった。ノヴァはそう分析している。実際彼らはおつむがちょっと、否、だいぶ残念だった。
こうして光の勇者認定されてしまったノヴァはあれよあれよと言う間に馬車の一等席に丁重に詰められ王都まで連行されることになる。
二週間以上かかる道のりの間、ブライトは片時もノヴァの側から離れず、彼女を最上級にもてなすように要求した。
質の良い食事に高級宿。おかげで痩けていた頬はふっくらと薔薇色に、かさついてた肌はツヤツヤと真珠のように、くすんでいた金髪は内側から輝く黄金のように。馬車がようやく王都に到着した時、そこにいたのは貧相な村娘ではなく、美の女神の化身であった。
曰く、自分は神の使いである
曰く、世界は魔族により滅亡の危機にある
曰く、魔族を倒せるのは光の勇者であるノヴァだけである
その証拠にお前たちの傷を治してやろう。
言葉通りに一瞬で身体が回復した領主の使いたちは──それだけでブライトを盲信した。
痛みと恐怖で混乱していたのは確かだろうが、たぶんアイツらは腐れ貴族の下で働いているくらいだから元々頭が弱かった。ノヴァはそう分析している。実際彼らはおつむがちょっと、否、だいぶ残念だった。
こうして光の勇者認定されてしまったノヴァはあれよあれよと言う間に馬車の一等席に丁重に詰められ王都まで連行されることになる。
二週間以上かかる道のりの間、ブライトは片時もノヴァの側から離れず、彼女を最上級にもてなすように要求した。
質の良い食事に高級宿。おかげで痩けていた頬はふっくらと薔薇色に、かさついてた肌はツヤツヤと真珠のように、くすんでいた金髪は内側から輝く黄金のように。馬車がようやく王都に到着した時、そこにいたのは貧相な村娘ではなく、美の女神の化身であった。