きみに、恋う



「うそつけ」

「……っ、」

「大学も違えば毎日嫌でも顔を合わせることもなくなるし?清々するのか後悔するのか知らないけど、間違いなくわたしがあんちゃんは後者だから!」



キライキライも好きのうち、なんて言葉誰が言い出したのか知らないけれど、作った人に言ってやりたい。


キライだったらもう、キライのままでいさせてくれ。
好きなんて言葉を、死んでも言えない空気にしたのは紛れもなく自分たちの日常にある。



好きな食べ物は違うけれど、嫌いな食べ物はおんなじだった。
音楽の趣味は、悔しいけれど似ていて、文句を言いながらアイツの好きなバンドだって聴いたし、わたしの好きなバンドの曲を教えてあげたりもする。


2年生からの二年間で、最後が隣の席になってしまったときはふたりして嫌な顔をしたけれど、そのあとはおかしくて笑えた。
こころのなかでちょっとだけ、うれしいと思ってしまったことは口が裂けても言えない。



篠崎七星のことを、本当はもう少し知りたいし、欲を言えば向こうもそう思っていて欲しかった、と思う。



まあそんなのは、地球が滅亡してもアリエナイ話だけれど。


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