(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]

スーパーと住むマンションの途中にある公園で、今日は小さな子供を連れたママさん達が集まっている様子を見つけた私は、近くのベンチでスーパーで買ったお水を飲みながら羨ましく見ていた。

その輪の中に、見知った顔を見つけ、向こうも私に気がついたようでお互いにペコリと頭を下げた。

しばらくして、その女性が輪の中から抜けて私のいるベンチまで来て声をかけてくれる。

「海堂さん?よね?」

「あっ、はい」

「やっぱり、お引越しのご挨拶で会った時は気がつかなかったけど、あなたも妊婦さんなのね」

そういう彼女は、お隣の野崎さんだった。

「野崎さんもですか?」

「そうなの。あっ、隣座ってもいい?」

「いいですけど、お友達、いいんですか?」

「大丈夫。お友達と話してくるねって逃げてきたの」

肩をすくめて、お茶目に笑う野崎さんは、とても可愛らしい人だった。

「お友達ですか?」

「そうよ。私とお友達になってくれない?あっ、警戒しないでね…お隣さんだし、ご挨拶した時、お友達になりたいって思ってたのよ。私の方が年上だけど…ダメかしら?」

「そんな、とってもうれしいです」

その日を境に、野崎さんとお互いの家を行き来するまで打ち解けていった。
< 12 / 45 >

この作品をシェア

pagetop