(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
オロオロしながらも今度は、痛みがくる間隔を測っていてくれたらしい。
「ノン、動ける?」
痛くて声を出すのも辛く、お腹を抱えてうずくまったまま頭を左右に振り、動けないと伝えた。
「少しだけ待ってて」
晶斗は、またどこかに電話をかけだした。
「1002号室の海堂です。お願いしてた車椅子をこちらまでお願いします」
車椅子?
先程まで、オロオロとして頼りない旦那様だった晶斗が、電話を切るなり家中の戸締りをし、準備していた出産用鞄を肩にかけた時、インターホンが鳴った。
「来たみたいだ」
玄関に急いで向かった晶斗は、車椅子を押して入ってきた。
それを見た瞬間、過保護すぎると思いつつ、歩くのも辛い私は、甘えることに…
「ノン、車椅子で下まで移動するからね」
晶斗に体を支えられ立ち上がると、車椅子に座らされて玄関へ。
すると、コンシェルジュの男性が待機していて、少しの段差を2人で車椅子に乗った私を持ち上げて下すという作業を、地下にある車まで続いた。
コンシェルジュの男性も仕事なので、表情には出してないが、過保護すぎる晶斗に呆れていると思う。
痛みで辛いうえに、恥ずかしさがつけ加わった。