(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
今後、絶対にコンシェルジュの男性は、私を見るたび、出産の際に車椅子で運んだ人だと毎回思うはず。
あー、やだ…
そう思ったのも一瞬で、またすぐに激痛が…
男、2人は、痛がる私に困惑して役に立たない。
車椅子で、痛みがひくまで待ち、ひいた瞬間に車の後部座席に移動して座ったが、シートに寄りかかるより前の座席のヘッド部分を掴んで前のめりになってる方が楽だった。
晶斗は、乗っていた外車のセダンから、国産のワンボックスカーに車を買い替えて、隣の席にはチャイルドシートが乗っかっている。
いつの間に購入していたのだろう…
「シートベルトして」
シートベルト…
そんなのしてられません。
痛い、痛い…痛くて、どうしてこんなに痛いの…
どうして女が、こんなに痛い思いして出産しないといけないの?
男がうめばいい!
痛いし、イラつくし、話すのも辛い。
私の形相に、晶斗の顔が強張っていく。
「ノン、ごめん。代わってあげれるなら代わってあげたいよ。ごめん、頑張って」
「代われないなら言わないで」
「…うん。ごめん」
「は、や、…く」
車を出したと促した。