(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
動きだした際、ちらっと視線に入ったコンシェルジュの男性が見送っていた。
「まだ、いたのか…」と思わず毒ついた。
「なに?」
「なんでもない…集中して、安全運転で…お願い」
激痛がひいても、子宮がじくじくとする。
病院まで車で10分ほどの距離が、すごく長く感じた気がした。
何度も、唸り、その度にバックミラーでこちらを伺う晶斗に、お願いだから、前見てて…と何度も思ったが、病院に着いた途端、ガクッと腰が抜けたように立てなかった。
そして、また、車椅子で病室まで移動。
恥ずかしいけど、痛みに耐えて歩けないのだからと、誰にも聞こえない言い訳を心の中でしていた。
病院に着いたからと、すぐ分娩室にとはいかなかった。
病衣に着替えてから先生と看護師さん(助産師)の診察で、まだまだ子宮が硬く、開いていないというのだ。
「こんなに痛いのに、まだなんですか?」
「初産だし、まだ半日はかかると思いますよ。しばらく、待機室で30分おきに診察しましょう」
診察室から待機室へ移動。
ベッドに横になり、痛みに耐えてる私の腰を晶斗が摩る。
「僕、出産に立ち合いたいので、ここにいてもいいでしょうか?」
「はい。奥さんの側にいてあげてください」