(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
「素敵な旦那さんですね」と、私の脈を測って看護師さんは満面の笑みで出て行った。
素敵な旦那さんなんです。
でも、今はストレスなんです。
摩る手が、若干痛い部位からずれていて、役に立たないんです。
「そこより、もう少し下、摩って」
「ここ?」
「違う…ここ」
このやりとりを何度も繰り返して、諦めた。
「…海堂のお家と私の家に、連絡お願い」
そこで、彼も連絡してないことに気がついたらしく「ついでに何か飲み物も買ってくるよ。何がほしい?」
「オレンジジュース」
「他にも食べやすいもの見てくるよ」
ひとりになりイライラも消えたが、痛みは消えず、急に不安になり落ち着かない。
その間に、何度も痛みに耐えて、耐えられない激痛に気を失うこと数回。
すごく長く感じた。
意識が痛みで朦朧としてくる中、何度か看護師さんがやってきたが、晶斗はなかなか来ないし、痛いしで、思わずベッドについてる呼び出しボタンを押していた。
「どうされました?」
「…まだ…なんでしょうか?…ッ…ウッ……」
「海堂さん、少し失礼しますね」
……………。
「あら、だいぶ開いたようね。先生お呼びしますね」