(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
ばっちりと、目が合い…
「起こしたか?」
「今、目が覚めたとこ」
「少し、寝起きに、ぐずったけどいい子だったぞ」
晶斗がベッド脇に座って、赤ちゃんを挟んで2人で見つめていた。
寝る前までイライラしていたのがうそのようで、気分は落ち着き、いつまでも赤ちゃんを見ていたい。
「そうだ、この子の名前だけど…望愛から愛って漢字を取ってつけようと思う。候補として愛莉、愛花の2つにしぼってみた。どう思う?」
「どっちもいいね。選べないな…そうだ、この子に決めてもらうのはどうかな?」
「まだわからないのに、どうやって?」
「抱っこさせて」
すると、腕の中でニコニコと笑った気がした。
あー、やっぱり可愛い。
泣いてる時は困ってしまうけど…
「あいり」
手を上げるように、バタついた。
「あいか」
今度は何の反応もしないので、晶斗が名前を呼び出した。
「あいり」
すると、また手を上げるようにバタついた。
「そうか…あいりって名前がいいんだな」
頬をツンとつつくと、喜んでいるように両手を上げた。
その反応から、彼女の名前は愛梨と命名される。
海堂 愛梨
彼女が、お隣の優雅君一筋に恋をするまで、まだもう少し先の話。
この時の晶斗は、想像もしていなかっただろう。