(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]
家にいる時のママとは別人で、時たま、誰?って思うぐらい、いい顔をしてた。
昔から晶斗の前で、いい顔してたから、今更、さらけ出せなかったのだろう。
「そうだろ。そうだと思って迎えに来たんだ」
調子のいいパパは、ママが帰って来ることになりご機嫌だ。
さぁ、帰ろうと愛梨を私の腕の中に戻して、ママの鞄を持って帰る気満々。
そんなパパに、ママも苦笑している。
「そろそろ、パパも1人は寂しいみたいだし…」
「そ、そんなことはない。ママがいなくてもご飯を作って食べてたし、ゴミ出しだってしてたんだぞ」
偉いだろうと、私をみて鼻高く上から目線だ。
ママがいたら、何もしないくせに…
「ふーん。晶斗は、掃除もしてくれるよ」
なんの自慢大会だ⁈
「パ、パパだって、掃除してた」
「あっ、そう」
「なんだ、その顔は!ちゃんとしてたんだからな。ママ、信じてくれるよね」
「あら、それならこれからは、ゴミ出しと掃除はパパにお願いしましょう。たまにご飯も作ってくれると嬉しいわ」
ここぞとばかりママに逆手を取られたパパは、言い返せずに困り顔で、ママの名前を呼んでいた。
「百合ちゃん」
「芳樹さん、どうしたの?」
からかって楽しそうにパパの名前を呼び返している。